お気軽にご相談・
お問合わせください
06-6105-9998
営業時間/10~19時(土14時まで)
定休日/水・日・祝
処方された漢方薬と市販の漢方薬の違い
漢方薬の中には、病院から処方してもらったものと同じ名前の漢方薬が、ドラッグストアなどでも売られているものがあります。
何が違うのでしょうか?
大きな違いは「含まれている成分量」と「法律上の分類」です。
含まれている成分量の違い
まず漢方薬には色々な剤型(形状)がありますが、販売されている漢方薬のほとんどがエキス剤と呼ばれるタイプのため、ここではエキス剤について書かせていただきます。
(剤型の違いについては漢方薬の剤型と特徴をご覧ください)
また、市販の漢方薬を一般用漢方薬、処方された漢方薬を医療用漢方薬と呼ぶことにします。
ほとんどの一般用漢方薬は医療用漢方薬よりも成分量が少ない
メーカーが同じであれば、医療用漢方薬も一般用漢方薬もどちらも製法は基本的に同じです。ただし、多くの一般用漢方薬は医療用漢方薬の50%~80%程の成分量しかありません。
箱や添付されている説明書の成分欄には、葛根湯エキス(3/4量) などと書かれていて、医療用漢方薬の3/4の成分を含んでいますと理解しておいて問題ありません。
例)ツムラ葛根湯で比較
例としてツムラの葛根湯について比較してみます。
添付文書(説明書)に書かれている分量は次の通りです。
【医療用】ツムラ葛根湯

【一般用】ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒A

まとめると
1日用量 (g) | 使用している生薬量(g) | |||||||
葛根 | 麻黄 | 大棗 | 桂皮 | 芍薬 | 甘草 | 生姜 | ||
医療用 | 7.5 | 4.0 | 3.0 | 3.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 2.0 |
一般用 | 5.0 | 2.01 | 2.01 | 2.01 | 1.34 | 1.34 | 1.34 | 1.34 |
このように1日に服用する成分量は、一般用は医療用の2/3量になっています。
なおツムラの場合、製剤1gあたりの生薬の使用量と添加物は医療用も一般用も同じです。つまり、ツムラ一般用漢方薬は医療用漢方薬の量を少なめにしてパッケージしているだけと考えられます。
ただしメーカーによっては医療用と一般用で生薬量や添加物などを変えていることがあるので、全てがこのように単純に比較できるわけではありません。
一般用漢方薬の成分量が少ない理由
一般用の成分量を少なくしている理由は、不特定多数の人が服用しても副作用等が起こりにくいようにしているためです。その代わり効き目がマイルドになる可能性はあります。
Q.健康保険でもらえる漢方薬と薬局で売っている漢方薬は同じですか?
A.ツムラの漢方薬(漢方製剤)に含まれる生薬成分は一緒です。健康保険適用の漢方薬(医療用漢方製剤)が医師の診察に基づき選択されるのに対し、薬局で売っている漢方薬(一般用漢方製剤)は、患者さま自身の自由な選択でどなたでも服用可能となっています。ツムラでは、この違いをふまえた上で一般用漢方製剤の安全性をより高めることを考慮し、1日の服用量を調整しております。そのため、服用量が異なる場合がございます。
ツムラホームページ よくあるご質問
ただし満量処方は例外
例外として、上記のように成分量が少なく調節されているものとは別に、認可されている最大の成分量(≒医療用漢方薬と同じ成分量)で作られている漢方薬も商品化されており、「満量処方」と箱に書かれていることが多いです。
代表例として葛根湯があります。効き目の良い満量処方シリーズとして色々なメーカーから出されています。
ただしドラッグストア等の一般的な薬店では、満量処方の漢方薬はわずかな種類しか販売されていません。不特定多数の人が購入する所では安全性を考慮し、使用経験が豊富にあり満量処方でも問題ないとされる漢方薬のみが販売されているためと考えられます。
(当店では漢方薬局の強みを活かし、豊富な種類の満量処方薬を取り扱っております。取り扱い一覧)
スポンサーリンク
法律上の分類の違い
もう一つの違いが、法律上の分類の違いです。
漢方薬は大きく3つに分類される
医薬品は、法律上ではリスク度合いにおいて大きく次の4つに分けられます。
- 医療用医薬品
- 薬局製造販売医薬品(薬局製剤)
- 要指導医薬品
- 一般用医薬品
(①医療用医薬品と②薬局製造販売医薬品(薬局製剤)を合わせて「薬局医薬品」と言います)
そして漢方薬は「①医療用医薬品」「②薬局製造販売医薬品」「④一般用医薬品」の3種類のいずれかに該当します。
- 病院から処方してもらう漢方薬
⇒「①医療用医薬品」 - 漢方薬局で売られている煎じ薬
⇒「②薬局製剤販売医薬品」 - ドラッグストア等で売られている市販の漢方薬
⇒「④一般用医薬品」
なお「要指導医薬品」は一部の西洋薬に限られ漢方薬は当てはまりません。
分類によって販売の規制が異なる
この分類により、誰がどこでどのように販売できるか法律で定められています。
・「医療用医薬品」…原則医師が処方し薬剤師が販売(調剤)。処方された医薬品は対面またはオンライン服薬指導により販売。インターネット販売不可。
・「薬局製造販売医薬品」…行政の許可を得て薬局内で薬剤師が作り販売する。漢方薬は主に煎じ薬。インターネット販売可能。
・「一般用医薬品」…第1・2・3類に分かれる。ドラッグストアや薬局・薬店で薬剤師または登録販売者が販売する。インターネット販売可能。漢方薬は第2類、3類のみ。
表にするとこんな感じです。(2023年現在)
薬局医薬品 | 医薬品 | 要指導一般用医薬品 | ||||
医療用医薬品 | 薬局製剤 | 第1類 | 第2類 | 第3類 | ||
漢方薬 | エキス剤 | 煎じ薬 | なし | なし | エキス剤 (多くが低濃度) | |
販売施設 | 病院 薬局(調剤/零売) | 薬局(漢方薬局) | 薬局・薬店・ドラッグストア | |||
販売者 | 薬剤師 | 薬剤師 登録販売者 | ||||
ネット 販売 | × | 〇 | × | 〇 |
一般用、医療用どちらがおすすめ?
すぐに漢方薬を欲しい方やとりあえず試してみたい方は気軽に買える市販の一般用漢方薬を、なるべく効き目の良い漢方薬(満量処方)を使いたい方や、予算の都合上、医療保険を使いたい方は病院から処方してもらう医療用漢方薬がおすすめです。
なお漢方薬局では、通常のドラッグストアでは買えないような一般用漢方薬の他に、効果の高い煎じ薬や散剤・丸剤も扱っています。
一般用漢方薬(ドラッグストア):すぐ漢方薬を欲しい、試したい方
医療用漢方薬(病院):成分の濃い漢方薬が欲しい、医療保険を使いたい方
自分に合った漢方薬を選ぶことが大前提
長々と書きましたが、一番大切なのは自分に合った漢方薬を選ぶことです。
体質に合わない医療用漢方薬を飲むのでしたら、体質に合う一般用漢方薬を飲む方がはるかにましです。
適切な漢方薬を選ぶためにも、漢方に通じた医師や薬剤師あるいは登録販売者を探すことが大切です。
漢方選びに迷ったらお気軽にご相談ください。LINEやメールでの相談も可能です。