満量処方とは

「この漢方薬は満量処方!」などテレビCMなどで見かけることはありませんか?

葛根湯や防風通聖散の箱にで見かけた方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では満量処方とは何かについて説明しています。

満量処方とは

承認基準内の最大量を配合している市販の漢方薬のこと

満量処方とは、一般用漢方製剤製造販売承認基準の最大量を配合している市販の漢方薬のことです。

基本的に医療用漢方薬と同じ分量になることが多いです。つまり病院で使われている漢方薬とほぼ同じ効果の漢方薬を市販でも手に入れることができるという事です。

満量処方の漢方薬は、この写真のように箱に満量処方と書かれていることが多いです。

満量処方で販売されている市販漢方薬は少ない

しかし効果の高い満量処方ですが、一般的に市販の漢方薬はあえて量を減らして作られていることがほとんどです。

なぜなら、市販薬は不特定多数の人が買うので、効果よりも健康被害(副作用)のリスクを減らすことをメーカーが優先しているからです。

ではどんな漢方薬が満量処方が販売されてるかというと、多くの人に使われていながら大きな健康被害の問題が起こっておらず、かつメーカー間の競争も激しい商品になります。たとえば葛根湯や防風通聖散、麻黄湯は良く使われている漢方薬のため満量処方をドラッグストアで見かけることが多いです。

なお例外的に老舗漢方メーカーの大杉製薬株式会社はほとんどを満量処方で作っています。

ただし一般のドラッグストアでは販売されていません。

例)

満量処方 五苓散料A 五苓散エキス顆粒剤 1.5g×45包(15日分) :goreisan-a:漢方・薬膳のミヂカナ薬局 - 通販 - Yahoo!ショッピング

満量処方で作られている漢方薬です。医療用(病院処方用)と効果は遜色ありません。【特徴】五苓散料Aは、五苓散(ごれいさん)という漢方薬のエキスを飲みやすい顆粒剤…

満量処方ではない漢方薬の表記

機会があれば、ドラッグストアに置かれている漢方薬の箱を見てみてください。

メーカーによっては書いていないところがありますが、成分・分量のところに1/2量や2/3量と書いています。

1/2量というのは満量処方の1/2量(半分)の生薬を使って作っていますという意味です。

代表的な漢方薬メーカーであるツムラの市販漢方薬は1/2量で売られています。

満量処方に比べて成分量が半分ということは効果もそれだけ出にくい可能性があります。

さらに詳しい説明

一般用漢方製剤製造販売承認基準とは

「一般用漢方製剤製造販売承認基準」は、厚生労働省が、市販薬としてふさわしいと認めた漢方薬を生薬量や効能効果とともに一覧にまとめたものです。
(漢方薬と生薬の違いについてはこちら

長い名前なので分けて解説すると、

一般用漢方製剤=市販の漢方薬を

製造・販売=ツムラなどの漢方メーカーが作って売る

承認基準=承認を得るための基準

ということです。

承認をスムーズに得るために、漢方メーカーはこの基準に基づいて漢方薬を作っています。

「一般用漢方製剤製造販売承認基準」 は厚生労働省から通知として出されています↓
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000160072.pdf

一般用漢方製剤製造販売承認基準に掲載されいている漢方薬は294処方

近年は、医療費を抑制するためにセルフメディケーションを国として推進する動きがあります。

比較的副作用が少ないうえに、未病(病気予防)の概念のある漢方薬はまさにセルフメディケーションにぴったりではないか、ということで掲載されている漢方薬がどんどん増えました。

その結果、一般用漢方製剤製造販売承認基準に掲載されている処方数は、2007年までは210処方だったのが、現在は294処方になっています。(2021年12月現在)

※セルフメディケーションとは、軽い症状であれば自分で薬等を使って手当てをすることです。

満量処方の具体例:安中散

具体的に満量処方の例を紹介します。

一般用漢方製剤製造販売承認基準には、漢方薬を構成する生薬と分量が書かれています。

たとえば、最初に出てくる安中散(あんちゅうさん)という漢方薬を見てみると次のように書かれています。


〔成分・分量〕に、「桂皮 3-5、延胡索 3-4、牡蛎 3-4、茴香 1.5-2、縮砂 1-2、甘草1-2、良姜 0.5-1」とあるのが、安中散を構成する生薬と分量の基準です。

たとえば桂皮3-5とあるのは、桂皮を3~5gの範囲で使って作ってください、という事です。

満量処方では最大量を使うので桂皮を5g使います。同じように他の生薬も各分量の最大量を使っています。

ただし、全ての生薬の上限量を何も考えずに使えば良いわけではなく、日本薬局方(国が作った薬の作り方辞典のようなもの)に載っている漢方薬があれば、日本薬局方の割合通りにつくらなければなりません。

たとえば葛根湯は日本薬局方に生薬量の組み合わせは4パターン記載されており、いずれかの比率を守らなければなりません。

一般用漢方製剤製造販売承認基準の葛根湯の〔成分・分量〕は葛根4-8、生姜1-1.5とあります。

しかし、葛根8gを使ったら、生姜1.5gを使えるわけではなく、局方の1)の通り生姜は1gを使う必要があります。