お気軽にご相談・
お問合わせください
06-6105-9998
営業時間/10~19時(土14時まで)
定休日/水・日・祝
漢方薬の剤型と特徴
飲む漢方薬の剤型(形状)は大きく分類すると5つのタイプがあります。
- 粉タイプ
- 液体タイプ
- 錠剤タイプ
- カプセルタイプ
- ゼリータイプ
粉タイプ
粉タイプには
- 乾燥エキスを粉状にしたもの
- 生薬を粉末にしたもの
- エキス剤と散剤を組み合わせたもの
があります。
乾燥エキス剤(顆粒剤・細粒剤):最もよく使われている
生薬を煮出して作った煎じ液を、砕くことができるまで乾燥させて粉にしたものが乾燥エキス剤です。
現在、漢方薬は乾燥エキス剤の粉タイプがもっともよく使われています。
メリットは、携帯しやすいこと、お湯に溶かして服用することができることがあります。
デメリットは、煎じ薬や散剤に比べると香り成分が飛んでいることが多く、効き目が落ちると言われています。また、既製品のため、個々に合わせた自由な組み合わせができない、開封後は湿気やすいなどがあります。
なお乾燥エキス剤の粉タイプは、メーカーによって粒の大きさが異なり、「顆粒剤」と「細粒剤」に分けられます。
顆粒剤
顆粒剤とは、一般的には粒の大きい粉薬を意味します。
(本来は添加物を加え人工的に粒の大きさを整えた粉薬を指し、厳密には次で説明する細粒も顆粒剤の一種です。)
顆粒剤のメリットは、粉が飛び散りにくいため扱いやすい、むせにくいなどがあります。
デメリットは、歯茎にはさまると痛い(入れ歯にはさまって大変だという方が以前いました)、お湯に溶かすときに細粒剤よりも少し時間がかかるなどがあります。
ツムラや大杉製薬、太虎精堂などが顆粒剤で作っています。
細粒剤
上記の顆粒剤よりも「粒の細かいもの」を細粒といいます。
(難しくいうと18号(850 μm)ふるいを全量通過し、30号(500 μm)ふるいに残留するものは全量の10%以下のものです。)
メリットは、顆粒剤よりも溶けやすいなどがあります。
デメリットは、粉が飛び散りやすいため、ややむせやすいことがある、お湯に溶かした時にだまになりやすいなどがあります。
クラシエや小太郎漢方製薬、東洋薬行、三和生薬などは細粒です。
粒の大きさによる効果の違いはなく、好みの問題になるかと思います。
散剤(生薬を粉末にしたもの)
散剤は、乾燥させた生薬をそのまま粉末にして混合したものです。
漢方薬の名前の最後に~「散」という名前がついているものは、昔は基本的に散剤として用いられていました。(例:安中散、五苓散など)
メリットは、持ち歩くことができるため携帯性が高く、即効性が期待できます。また生薬をそのまま摂取するので少量の服用で高い効果が得られます。
デメリットは、既製品のため個人に合わせて自由な調整ができない、漢方薬の味や香りが強く苦手な人はつらい、むせることがあるなどです。
乾燥エキス剤と散剤を組み合わせたもの
エキス剤に原末の散剤を混ぜ合わせた商品も比較的良くあります。
エキス剤の飲みやすさを維持しながらも、原末を少し加えることで効き目を上げられるメリットがあります。
市販漢方メーカーの剤盛堂薬品などが有名です。
液体タイプ
液体タイプには
- 煎じ薬
- 軟エキス剤
があります。
煎じ薬
昔から最も多く漢方薬の剤型に用いられてきた剤型です。
生薬を混合して水に浸して一定時間煎じ、煎じた液を服用します。
煎じ薬のメリットは、吸収が速く効果が即効性が期待できること、個々の状態に合わせて生薬の組み合わせをしやすいことがあります。
デメリットは、毎日煎じる手間がかかること、携帯性、保存性が少ないことです。
軟エキス剤
エキス剤とは、生薬の浸出液を濃縮して製したものです。
この浸出液を水アメ状になるまで濃縮したものが軟エキス剤です。
通常は、白糖や防腐剤などの添加物を加えて飲みやすくしたり保存性を高めたりします。
なおエキス剤を乾燥させ添加物を加えて粉や錠剤にしたものが、最も一般的な漢方薬として現在使われています。
錠剤タイプ
錠剤には
- 乾燥エキス剤を固めたもの
- 生薬末を固めたもの
- エキス剤と散剤を一緒に固めたもの
があります。
乾燥エキス剤(錠剤)
クラシエHPより
乾燥エキス剤に添加物を加え錠剤にしたものです。
通常、病院で処方される漢方薬はこのタイプです。
メリットは、持ち運びしやすい、保存性が高い、粉が苦手な人でも飲めることです。
デメリットは、顆粒剤や細粒剤はお湯に溶かして飲むことができますが、錠剤ではできません。
クラシエが比較的多くの種類の漢方錠剤を作っています。
丸剤・錠剤(生薬末を固めたもの)
丸剤は、生薬を粉末にした生薬末(=散剤)を、ハチミツなどで丸く固めた伝統的な製法です。
丸剤は緩やかに体内で溶けて持続性があり、慢性病を徐々に直していくのに適しています。
八味地黄丸や桂枝茯苓丸など、~丸と付くものは本来は丸剤で作られるものが多いです。
また、同じような作り方で錠剤の形にした製品もあります。
メリットは、小さいため持ち運びしやすく、携帯性、保存性が高いことです。
デメリットは、煎じ薬や散剤に比べると即効性は劣る可能性があること、既製品であるため個々に合わせた自由な調整がしにくいことです。
エキス剤と原末を合わせたもの
八ツ目製薬や一元製薬(廃業)が発売している錠剤のように、生薬末と乾燥エキス剤を組み合わせて作られている商品もあります。
カプセルタイプ
乾燥エキス剤をカプセルに詰めたものです。
医療用では小太郎漢方製薬からカプセル剤が発売されています。
メリットは、漢方薬の味が全くしないので漢方薬の味やにおいが苦手な方でも飲むことができること、粉が苦手でも飲めることです。
デメリットは、溶けるまで時間がかかるため粉薬と比べるとやや効果が出るまで時間がかかる可能性があります。
カプセル剤は、安中散や麻黄附子細辛湯、黄連解毒湯など数種類が発売されています。
ゼリータイプ
一部のメーカーからゼリー状の漢方薬も販売されています。
手軽にさっと飲めるのが特徴ですがその分値段は高めです。こむら返りに効く芍薬甘草湯や、子供用に咳止めの五虎湯などがゼリータイプで販売されています。