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小学生・中学生の夜尿症(おねしょ)対策に漢方薬

夜尿症診療ガイドライン2021によると、夜尿症は「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義されています。

西洋医学ではアラーム療法や薬物治療がありますが、治療の選択肢は限られており、夜尿で悩んでらっしゃる小・中学生のお子様や親も少なくありません。

もし西洋薬だけで改善しない時は漢方薬もぜひ選択肢に加えていただくことをおすすめします。

目次

西洋医学における夜尿症の治療法

別の疾患が原因である場合などを除き一般的な夜尿症は次のようなものがあります。

アラーム療法

センサーをパンツの中に入れおき、尿の水分を感知したらアラームが鳴る装置です。
尿意を感じたら目を覚ましやすくなったり膀胱の用量が大きくなる効果があるとされています。

薬物療法のデスモプレシンと併用することもあります。

薬物療法

デスモプレシン(ミニリンメルトOD錠)

デスモプレシンは薬物療法では第一選択薬として最初に使われます。

脳から分泌される抗利尿ホルモンのバソプレシンと似た構造のため、腎臓に働きかけ尿量を少なくする働きを持ちます。

水分が体内にたまりやすくなるため水分摂取のコントロールも必要になります。

三環系抗うつ薬や抗コリン薬

三環系抗うつ薬(アナフラニール、トリプタノールなど)が使われるたり、デスモプレシンと抗コリン薬(バップフォーなど)が併用されることがあります。

三環系抗うつ薬は心毒性(不整脈、心不全など)の副作用が懸念されるため、デスモプレシン、アラーム療法で効果がない場合のみに使います。

漢方で見る夜尿症の小児の体質

尿は腎関係だから六味地黄丸、小児だから小建中湯という感じで、漢方薬を選ばれるケースが少なくありません。

しかし、このような選び方では効果はあまりありません。

夜尿症に限らず、漢方薬は体質によって使い分ける必要があります。

夜尿症を起こしやすい体質については先人たちが色々分類しており、たとえば「東医雑録(山本巌 著)」では次の5つに分類しています。

  1. 膀胱括約筋が弱い:
    疲れやすい、姿勢が悪いなど
  2. 膀胱括約筋の緊張が強い:
    一晩に何回ももれる、昼間も頻尿など
  3. 脊髄反射が鈍い:
    骨が弱い、つまずきやすいなど
  4. 中枢の反応が鈍い:
    寝ぼけてなかなか目覚めないなど
  5. 冷えによるもの:
    朝方にもれやすい、量が多いなど

また「今日の漢方診療指針(松本克彦 編著)」では次の3つに分類しています。

  1. 緊張型体質
  2. 虚弱体質
  3. 冷え症

このように体質の分類は色々ありますが、漢方の言葉で言い表すと、気虚・腎虚・気滞・虚寒などが主な要因であることが考えられます。

また1つではなく複数の原因が絡んでいることも多いです。

夜尿症に使われる漢方薬

先ほどの体質分類を参考にして、漢方薬を単独であるいは組み合わせて使います。

たとえば次のような漢方薬が良く使われます。

  • 小建中湯:疲れやすい、虚弱、冷え
  • 補中益気湯:疲れやすい
  • 人参湯:冷え
  • 柴胡桂枝湯:ストレスが強い
  • 六味丸・八味丸:骨がもろいなど腎虚傾向
  • 麻黄剤(葛根湯・越婢加朮湯など):寝ぼけて起きにくい
  • 白虎加人参湯:寝ぼけて大量にもらす、喉が渇きやすい

お気軽にご相談ください

もし西洋医学でなかなか改善が見られない場合はぜひ漢方薬をお試しください。

ミヂカナ薬局では子供割もございます。

またデスモプレシン(ミニリンメルト)は漢方薬と併用することも基本的に可能です。
(漢方薬を併用する場合は念のため主治医とご相談ください)

事例紹介

〔事例39〕夜尿症 中学生

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