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身近な生薬:陳皮(ちんぴ)
日本で冬に最も食べられる果物といえば、温州みかんですね。
このみかんの皮、ほとんど捨てられていると思いますが、乾燥させれば「陳皮(ちんぴ)」という生薬になります。
今回は陳皮について少し書きたいと思います。
陳皮はみかんの皮を乾燥させたもの
日本で陳皮として認められているのは、温州ミカンのほか、マンダリンオレンジ(ぽんかんの仲間)の皮を使うことが認められています。
本品はウンシュウミカンCitrus unshiu Marcowicz又はCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)の成熟した果皮である.
日本薬局方より
Citrus reticulata Blanco:マンダリンオレンジ
なお本場中国では温州ミカンとは違う種類のみかん(オオベニミカン、コベニミカンなどの仲間)の皮を使うことが多いようです。
陳皮は輸入に頼らず流通できている数少ない生薬
漢方薬の原料である生薬はほとんどが中国からの輸入に頼っています。一部の生薬は国内でも作られていますが日本産は割高になることも少なくありません。
こうした中、陳皮は輸入に頼らず国産国消ができており、生薬の中でも比較的安価に手に入れることが可能な数少ない生薬です。
これは陳皮の原料となるみかんの皮が豊富にあるからで、みかんが果物の国内出荷量ランキングで1位となっていることからもわかります。
この背景には日本人はみかん大好きということがあります。1世帯あたりの果物の支出額ランキング(2020年)では3位です。
ちなみに1位はバナナ、2位がリンゴですが、バナナやリンゴは年中スーパーで売られているのに対し、みかんは主に冬だけ販売されると考えると短期集中で大量に食べられている果物です。
(出所:農林水産省「日本一売れているくだものをおしえてください」)
「陳」は古いという意味
陳皮の「陳」には古いという意味があります。
1 平らに並べる。つらねる。「陳列」
2 申し述べる。「陳謝・陳述・陳情/開陳・具陳」
3 古い。「陳腐/新陳代謝」
goo辞書より
もともと中国では保存時間が長く古い(陳)ほど効能が優れているとされ、陳皮と呼ばれるようになりました。5年、10年ものなどは高級品として出回っているようです。
中国では、新鮮なみかんの皮を橘皮(きっぴ)、時間をおいたものを陳皮や陳橘皮と呼びます。
日本の陳皮は保存時間については規定されておらず、中国の橘皮に近いかもしれません。
ちなみにミヂカナ薬局で扱っている煎じ薬の陳皮は中国産の陳橘皮を使っています。
陳皮の効能
気の巡りを良くし(リラックス効果)、脾の働きを促進し(健胃)、体を温めながら余計な体内の水の生成を抑制(去痰)します。
中医学では燥湿化痰、理気健脾とも言います。
漢方薬では、平胃散・二陳湯・温胆湯などに配合されています。
湿気の多い日本は痰湿がたまって胃腸の不調を起こしやすい人が多く、これらの漢方は度々使われます。
陳皮の作り方
陳皮の作り方は、みかんの皮をカラカラになるまで天日干しをするだけです。
本格的に健胃やカゼ用に使う時はさらに1年以上置いたものが良いとされています。
乾燥を防ぐために一部のみかんにワックスが使われることがありますが天然由来のため人に害はありません。気になる時は食べる前に水洗いしてから皮を向くと良いでしょう。
農薬がもし気になる方は無農薬のみかんを使うのが無難だと思います。
使用例
民間薬的に次のような使用法があります。
- 風呂:みかんをの皮を天日干しして浴槽に入れる。血行を良くし肌を艶やかにする
- 健胃:陳皮5~10gに水400mlを加え2/3位まで煎じる。砂糖を少々入れて飲んでも良い
- カゼ:陳皮5gを煎じ、生姜少々、砂糖を入れ熱いうちに飲み、就寝して汗をかかせる
みかんの皮を捨てる前に、陳皮作り試してみてはいかがでしょうか。
オンライン販売も行っております(こちらは日本産。橘皮に近いものです)↓