病後・術後の倦怠感、体力低下、食欲不振、夏バテ・熱中症対策に生脈散

以前、熱中症対策におすすめの漢方薬の一つとして生脈散エキス細粒G「コタロー」（以下生脈散）をご紹介したことがあります。

生脈散は熱中症以外にもおすすめできるケースが多く、今回はそちらも含めてご紹介したいと思います。

（当店では1日分から販売しております↓）

生脈散（しょうみゃくさん）とは

生脈散は、800年ほど前に出版された中国の書物（内外弁惑論）に記載されている漢方薬です。

生脈散は気（エネルギー）と陰（潤い）を補給する働きがあります。

人参・麦門冬・五味子の3つの生薬から成るシンプルな構成で、それぞれの働きは次の通りです。

• 人参…気を補う
• 麦門冬…陰を補う
• 五味子…酸味（収れん）で陰の漏れを防ぐ、咳を鎮める

「生脈散」という名前は、今にも途切れそうな脈を気と陰を補うことで生き返らせる意味があります。

このような症状におすすめ

夏場だけでなく次の様な症状があれば一年中使用可能です。

発汗後の疲労・倦怠・食欲不振に

汗をたくさんかくと陰（水分）だけでなく気も一緒に出ていくと考えられています。

夏バテは分かりやすい例で、だらだら汗をかき続けると口が渇き、疲労感が現れ、胃腸の働きの悪くなり食欲がなくなってきます。

生脈散で気と陰を補い、体力・食欲の回復を図ります。

熱性疾患、嘔吐、下痢、術後の回復に

インフルエンザなどの熱性疾患や、嘔吐・下痢、大出術による気と陰の消耗による、口の渇き、疲労倦怠、食欲、口の渇き、動悸などに使います。

慢性の咳

慢性的に咳が続くことによる気と陰を消耗しやすくなります。

口の中が乾燥し、痰の無い空咳に有効です。

カゼの後になかなか治らない空咳にも良いことがあります。

運動や仕事による肉体疲労

発汗後の症状とも重なりますが、運動・仕事による肉体疲労にも生脈散は活躍します。

バテている時に飲むと元気が湧いてきます。

効能効果と用法用量

年齢	1回量	1日服用回数
成人（15歳以上）	1包（1.5g）	2回
15歳未満8歳以上	1／2包（0.75g）
8歳未満	服用しないでください

注意事項や副作用

特別に注意するものはありませんが、まれに生薬に合わない方もいらっしゃいます。これは生脈散に限らずどの漢方薬にも当てはまります。

■相談すること
1．次の人は服用前に医師，薬剤師または登録販売者に相談してください
　（1）医師の治療を受けている人。
　（2）妊婦または妊娠していると思われる人。
　（3）今までに薬などにより発疹・発赤，かゆみ等を起こしたことがある人。
2．服用後，次の症状があらわれた場合は副作用の可能性がありますので，直ちに服用を中止し，この文書を持って医師，薬剤師または登録販売者に相談してください

［関係部位：症状］
皮膚：発疹・発赤，かゆみ
消化器：食欲不振，胃部不快感，下痢

3．しばらく服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し，この文書を持って医師，薬剤師または登録販売者に相談してください
4．長期連用する場合には，医師，薬剤師または登録販売者に相談してください

生脈散エキス細粒G「コタロー」添付文書より

また8歳未満は服用しないこととなっています。

味は飲みやすい

酸味のある五味子が入っているためさわやかな酸味があり、苦味はほとんどありません。

個人的には飲みやすい部類の漢方薬と思います。

補中益気湯との違い

気を補う代表的な漢方薬に補中益気湯があります。

補中益気湯は気を上に持ち上げる働き「升提作用（しょうていさよう）」を持ちます。そのため気を補うことに加え、脱肛や内臓下垂などにも効果があります。

生脈散は気だけでなく陰も補うので、発汗や陰液（水分）不足に伴う症状により適しています。また漢方薬は構成がシンプルなほど効果のキレが鋭いとされており、3種だけからなる生脈散はより即効性が期待できます（補中益気湯は10種の生薬）。

他メーカーとの違い

イスクラより麦味参顆粒（ばくみさんかりゅう）が発売されています。

使用している生薬の量は全く同じですが、抽出エキスや価格、添加物に違いがあります。

	生脈散エキス細粒G「コタロー」	イスクラ麦味参顆粒
1包あたりの量	1.5g	2.0g
成分・分量	ニンジンエキス0.7g （人参3g） バクモンドウエキス0.9g （麦門冬2g） ゴミシエキス0.4g （五味子1.1g）	ニンジンエキス0.7g （ニンジン3g） バクモンドウ軟エキス1.4g （バクモンドウ2g） ゴミシ軟エキス0.6g （ゴミシ1.1g）
添加物	含水二酸化ケイ素，ステアリン酸マグネシウム，トウモロコシデンプン	乳糖，結晶セルロース，ポビドン
値段 （2023/12）	1箱（60包）9,240円	1箱60包：10,560円

麦味参顆粒は水分を含んだ軟エキスの状態で表示されているため生脈散よりも重くなっていますが、どちらが優れているかは単純比較はできません。

コタローは乳糖を含まないため乳糖不耐症の方も安心して使用できます。

なお松浦薬業より生脈宝が販売されていますが、黄耆（おうぎ）という生薬が配合されており比較から外しています。

1日分から販売しております