瘀血(おけつ)と血瘀(けつお)の違い

今回は少しマニアックな内容かもしれません。

日本漢方では血の巡りが良くないことを瘀血(おけつ)と言いますが、中医学では瘀血だけでなく文字を逆にした血瘀(けつお)という言葉も使います。

瘀血と血瘀。

あまり区別されずに使われていることが多い印象ですが、違いを簡単に解説してみます。

目次

瘀血は血の滞りが悪くなった「もの」を指す

中医基本用語辞典によれば瘀血は次の通り説明されています。

瘀血(おけつ)
「瘀」は流通しないという意味。「瘀血」は体内の血液が瘀滞し,流れないものをいう。瘀血とは,経脈外に溢れて組織間に溜まった血液(悪血という),運行が阻まれ経脈内に留滞した血液,あるいは器官内に鬱積した血液(蓄血という)を指す。

(以下省略)

出所:改訂版 中医基本用語辞典(東洋学術出版社)p61

瘀血は、血液の流れが滞り流れなくなった「もの」を指します。

現代医学で言えば、血栓や打撲のアザは瘀血と言えます。

血瘀は「病証(病気や体の状態)」を指す

対して、血瘀は次の通り説明されています。

血瘀(けつお)
血液の運行が順調でないか,または瘀滞して出現する病証を血瘀証、あるいは瘀血証と称する。
(以下省略)

出所:改訂版 中医基本用語辞典(東洋学術出版社)p186

血瘀とは、瘀血に関わる病証を指します。

病証とは、病気と証候(証)をつなげた言葉で、病気の種類や病気や体がどんな状態かを表すものです。

状態を表すので血瘀証または瘀血証とも言います。

たとえば、「血瘀」という言葉が入る血瘀胃痛、血瘀胸痹、血瘀腹痛、血瘀頭痛、「瘀血」が入る瘀血頭痛、瘀血咳嗽などはすべて病証です。そしてこれらを簡単にひっくるめれば血瘀ということになります。

現代医学で例えると、心筋梗塞は、血栓が瘀血、心筋梗塞になっている状態や心筋梗塞の諸症状(胸の痛み、チアノーゼ等)をまとめて血瘀ということになるでしょうか。

瘀血と血瘀の例のイラスト

以上まとめると、瘀血という「もの」が体の中にあり、この瘀血が原因で病気が起こっている状態が血瘀(血瘀証もしくは瘀血証)です。

参考書籍:改訂版 中医基本用語辞典(東洋学術出版社)

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