インフルエンザや新型コロナ、カゼ予防に使える漢方薬

漢方には「上工は未病を治す」という言葉あります。病気にならないように養生することや病気になっても次の病気を引き起こさないように早期に治療することが重視されます。

もちろん西洋医学も予防を軽視しているわけではありません。とくにワクチンは素晴らしい予防法です。

ただしインフルエンザや新型コロナのように型を頻繁に変えるウイルスには、ワクチンが確実に機能するわけではありません。普通のカゼについては200種類以上のウイルスが原因とされており現実的にワクチンでの予防は不可能です。

一方で漢方にはカゼをひきやすい状態を未病と考え、結果的に感染予防ができる漢方薬が色々あります。

感染が心配な方は、日常生活の注意(手洗いうがい、適度な睡眠、バランスの良い食事など)に加え、このような漢方薬を併用しておくと起こる前から服用しておけばかかりにくくなります。

実際に服用されている方からもカゼをひきにくくなったという声をいただいております。

目次

予防に使われる代表的な漢方薬

①補中益気湯

補中益気湯は、気の一種である衛気(えき)を増やすことで感染予防が期待できます。

衛気とは体の表面を守るバリア(≒免疫)のような働きがを持っています。

感染予防として使う場合は1/3~2/3(1日1~2回)で大丈夫です。

ただし補中益気湯は気を持ち上げる働きが強いため、まれにほてりを感じたり、眠りが浅くなったりする方がいらっしゃいます。

このような方は補中益気湯の量を減らしたり、次に紹介する玉屏風散にして様子を見られるのが良いです。

おすすめの方
  • 疲れやすい
  • かぜをひきやすい
  • 食が細い

(これらの症状が無くても予防として使うことは可能です)

オンラインストアで購入できます。こちらは病院で使われている内容と同成分のものです。

②玉屏風散 (ぎょくへいふうさん)

玉屏風散は黄耆・白朮・防風の3つだけの生薬からなり、衛気の働きを高めるのに特化しています。まさしく屏風(びょうぶ)のように外邪をくい止める働きを持ちます。

黄耆・白朮が衛気を増やし、防風が文字通り風邪を去る働きがあり免疫力を高めます。普段から飲んでおくとカゼをひきにくくなります。

こちらも感染予防として使う場合は1/3~2/3(1日1~2回)で大丈夫です。

またカゼ等の病気後の不調や回復にも有効です。

おすすめの方
  • かぜをひきやすい
  • 汗をかきやすい
  • 補中益気湯が合わない

(これらの症状が無くても予防として使うことは可能です)

こちらは医療用は無いため病院では使われていません。またメーカーからはインターネット販売が禁じられているので主に漢方薬局で店頭販売されています。

玉屏風散
玉屏風散

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やや感染リスクが高い時にさらに追加したい漢方薬

感染リスクが高い方や、周囲で感染が広まってきたときは、体質によって上記に次の漢方薬を加えます。

①冷え症の方は 基本+麻黄附子細辛湯

麻黄附子細辛湯は、普段から冷え性でカゼをひいたときにあまり熱が出ず、しんどくてすぐ横になって眠りたい方に使うとよく効く漢方薬です。

予防で使う場合は、補中益気湯や玉屏風散に麻黄附子細辛湯を通常の半分程度加えて使うと良いです。

まれに麻黄で動悸や不眠を起こす方がいらっしゃるので、その場合は量を減らすか中止します。

おすすめの方
  • 感染が広がってきた時、感染リスクの高い方
  • 冷え性、むくみやすい方

②熱がこもりやすい方は 基本+麻杏甘石湯

麻杏甘石湯は、咳止めとして使うことが多いですが石膏を含むため熱を冷ます働きがあります。

ほてりやすかったり、口が渇く、のどが乾燥するなどの熱症状を伴う場合は麻杏甘石湯を併用します。

予防で使う場合は、補中益気湯や玉屏風散に麻杏甘石湯を通常の半分程度加えて使うと良いです。

こちらも麻黄を含むため動悸や不眠等があれば量を減らすか中止します。

おすすめの方
  • 感染が広がってきた時、感染リスクの高い方
  • 熱がこもりやすい(ほてり、口渇、のどの乾燥など)方

その他、ご高齢の方はまたこちらとは別の漢方が良い場合があります。お気軽にお問い合わせください。

参考書籍:新型ウイルス感染症の治療と予防の漢方戦略(医学と看護社)

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